起立性調節障害を引き起こす生活環境

起立性調節障害と調べて、この記事に辿り着いた方、SNSで気になってこの記事を読んでいただいている方、起立性調節障害という疾患をどのようなものだと考えていますか?

起立性調節障害は、なかなか理解してもらえない疾患の一つです。

・朝起きれないのはサボりたい、なまけたいという気持ちがあるわけではない

・夜遅くまで起きているのは寝れないと不安だからテレビやスマホを見て気をまぎらわせている

・朝は調子が悪く動けないが夕方には調子が良くなるので動きたいが、嘘ついてると思われるので一日しんどいフリをしている

これは、実際に当院に来院された患者さんが話してくれた内容の一部です。なかなか周囲の人に理解されないことによって、より精神的に負荷がかかってしまい症状が悪化してしまうことも珍しくありません。

起立性調節障害は、ここ最近になって急激に中高生を中心に増えてきている疾患です。

今回は、起立性調節障害を克服していくために大切な生活環境に対する考えをお話していきます。

こんな症状ありませんか?

  • 朝どうしても起きれない
  • 夜なかなか寝付けない、熟睡できない
  • 毎朝の調子が悪く、夕方になると良くなっていく
  • 急に立ち上がるとクラクラする
  • 急に動いたわけでもないのに動機や息切れをする
  • 頭痛や腹痛が頻繁に起こる
  • やる気が起きず、ベッドから出られない

保護者の方へ

上記でもお話しましたが、起立性調節障害は周囲の理解をなかなか得られない疾患です。「気持ちの問題だ」「夜更かしするからだ」「やる気がないから」など様々な要因を指摘されることがどれだけストレスになるかは計り知れません。

この記事を見ていただいている保護者の方には特に理解していただき、お子さんの良き理解者として見守ってあげてほしいのです。

ですので、もしお子さんが、

◆いつもの時間になかなか起きない

◆体調不良を理由によく学校を休む

◆夜更かしばかりで寝ようとしない

◆朝ずっとボーっとしていている

◆朝休んで午後から学校にいく

そんな生活になっている場合は、なぜできないと指摘するよりも、なぜそうなるのか理由を聞いてあげてください。

まず、今の悩みを打ち明けること、相談できる相手がいることに安心するだけで症状の回復は大きく変わってきます。

起立性調節障害の診断基準

新起立試験

1.下記の複数の症状が三つ以上当てはまる

2.血圧や脈拍に問題があり、下記のサブタイプに当てはまる

3.内臓の病気などがない

複数の症状

  • 立ちくらみ・めまいを起こす
  • 立っていると気分が悪くなる、悪化すると倒れてしまう
  • ストレスがかかったり、嫌な事を見たり聞いたりすると気分が悪くなる
  • 少し動いただけで、動機・息切れを起こす
  • 寝起きが悪く、午前中調子が悪い
  • 顔色が青白い
  • 食欲不振
  • 強い腹痛
  • 倦怠感および疲れやすさ
  • 頭痛
  • 乗り物酔い

4つのサブタイプ

●起立直後性低血圧

立ち上がった際に、血圧の低下が著しく、血圧の回復が遅れる

●体位性頻脈症候群

立っている時に、血圧の低下はないが、著しい心拍の増加がみられる

●神経調整性失神

立っている時に突然血圧が低下し、意識低下・失神を起こしたりする

●遅延性起立性低血圧

立ち上がってしばらくしてから、血圧が著しく低下して動悸や気分が悪くなる

血圧や心電図、聴診器などでサブタイプを検査し、起立性調節障害を判断します。

新起立試験の結果と症状を踏まえて軽症・中等症・重症を判断します。

なぜ、起立性調節障害が起きるのか?

関係するのは、私たちの体とは切っても切れない関係である自律神経の影響です。

特に思春期は、心身の発達に伴いホルモンバランスや神経・循環器系の急激な変化によって、様々な症状を訴えます。この時期に過剰なストレスなどがあると、自律神経はバランスを崩してしまい、起立性調節障害を引き起こします。

【当院に来られた患者さんの原因となったストレス】

・小学校から中学校に進学し、環境の変化が著しく起こった

・勉強や部活動での過度なプレッシャーや過度な疲労

・人前で発表することが増えて失敗する恐怖や緊張

・塾に通いはじめて生活リズムが極端に遅くなった

・交友関係がうまくいかず気を使いながら生活している

など、様々なストレス要因があります。

上記に挙げた要因だけでなく、その他にも様々なものがありますが、

これらが自律神経の交感神経を活発にし、本来休むべきときでも、

体を緊張させてしまい、結果的に起立性調節障害を招きます。

なぜ、なかなか良くならないのか?

なぜ、起立性調節障害はなかなか良くなって来ないのか?

それには、起立性調節障害の世の中の認知が関係してきます。

この症状は、発症しても周りに症状の苦しさや、怪我のように体の表面に現れるものがないため、理解されにくいことがあります。当院でも保護者の方には、こういった説明は必ず行いますが、学校ではそうはいきません。

遅刻や学校を休んでいることに対して心無い一言を言われることも少なくはありません。すべての人に理解してもらえればいいのですが、小中学生にとってその善悪を判断することは難しいと思います。そのような一言は、心に傷がつき、リラックスできるはずの家での空間でも神経を緊張させてしまいます。

このように、症状があることによってさらなるストレスの連鎖になることがあるので、起立性調節障害は、なかなか軽快せずに症状の悪化をしてしまうケースが多くみられます。

起立性調節障害の気をつけたいポイント

起立性調節障害は、上記でお話したストレスによって、なかなか良くならないケースが多い症状ですが、その症状の特徴からも悪化してしまうケースが多くみられます。

その特徴とは「朝に起こる不調」です。

起床時からの不調、あるいは起きれず昼まで寝てしまう、不調が良くなるまで時間がかかるなどの特徴があるため、おのずとベッドで横になって過ごす習慣になってしまうことが多くみられます。

体には体内時計が存在し、一日の起床から寝るまでのリズムは、太陽などの強い光を浴びるとリセットされ、そこからが一日の始まりとしてスタートする生理的な習慣がります。

起立性調節障害では、この生活習慣にズレが生じやすく、このズレが症状の悪化を引き起こします。そのため、まずは無理のない範囲で朝日を浴びる習慣をつけたり、一度起きて動けそうであれば、ベッドではなくイスに移動したり、朝起きたらまず歯を磨くようにするなど、できることから習慣化させていくことが大切です。

回復の一歩は理解すること

この記事を読んでいただいている保護者の方々、お子さんの症状がなかなか良くならずに日々悩まれていると思います。

当院にもたくさんの起立性調節障害の患者さんが来られていますが、最も私が回復のために重要だと感じているのはご両親の理解が重要と感じています。上記に何度も同じ内容を挙げましたが、それほど大事な要素なんです。

怒ってはいけないというわけではありませんが、あくまでもお子さんの症状はお子さん自身から起こっているものです。回復するヒントは必ず本人の体にあります。

起こっている症状が悪いのではなく、なぜ症状起こらないといけなかったかが重要なのです。症状をなんとかしようとすることももちろんではあるのですが、お子さんとお話する時間をまず作ってあげてください。

理解してくれる人がいるという事は、本人にとって最も安心できることなんです。その安心が起立性調節障害という症状を克服させる大きな一歩になります。

最後になりましたが、起立性調節障害は必ず良くなります。時間はかかってもできることから少しずつ始めていきましょう!そして、できないことがあっても自分を責めさせないことと、できたことを自信につなげていくことが大切です。

当院では、そんな症状でお困りの方が少しでも早く症状を克服し、やりたかったことを実現できるように全力でサポートしています。

問診でのカウンセリングや検査を通して、どういう状態なのか、そして今体に必要なこと何なのかを分かりやすく説明させていただきます。

ぜひ、私たちにお悩みをご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。